あなたは離婚できるとは限らない

 

今日子さんは結婚4年目。1歳になる男の子のお母さんです。
子どもができたことを機に仕事を辞め、子育てに追われる生活を送っています。
夫の良太さんは、残業のある日が多く、夜は遅く帰ってきて、ご飯を食べて、お風呂に入って寝るだけの毎日。土日になっても子どもの相手をすることもなく、ゲームやパソコンをして過ごしています。
たまには子どもと遊んでほしい、家事も少しは手伝ってほしい。
今日子さんはときどき夫に訴えますが、夫は知らん顔。
「お前は一日家にいるんだから。」「子どもの世話は、母親がして当然だろ?」
そういわれることが一度や二度ではありません。
夫の思いやりのなさに次第に嫌気がさしてきている今日子さん。彼女の頭の中には、「離婚」の文字が沸いてきています・・・


民法には「夫婦はその協議で離婚することができる」(第763条)と定められています。
話し合いによって離婚することができる、つまり夫婦二人の合意があれば離婚できるということです。
裏を返せば、合意がなければ離婚できない、ということです。
たとえば、一方が離婚したいと思っても、配偶者がそれを拒否している場合は離婚することはできません。
協議離婚の場合、離婚したい理由はどんなことでも構いませんが、相手が離婚に同意しない場合は、その理由などに説得力を持たせて、相手と話し合う必要があります。
離婚条件(養育費や財産分与)が不利になることも、覚悟の上で。


協議でまとまらない、調停でも合意がなされない、じゃあ、裁判で決着をつければいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、ことはそう単純ではありません。


民法が定める5つの事由


裁判で離婚を争うには、「離婚の理由」が必要になります。


民法には、「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。」(第770条)として、次の「5つの事由」を上げています。


 1.配偶者に不貞な行為があったとき
 2.配偶者から悪意で遺棄されたとき
 3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
 4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
 5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき


婚姻を継続しがたい重大な事由


「1から4の事由には当てはまらないけど、私にとって、夫と性格が合わないのは、『婚姻を継続しがたい重大な理由』です。だから、裁判官も認めてくれるでしょ?」


いえいえ、あなたにとって「重大な事由」であることは間違いないでしょうが、客観的に見て、それが果たして「重大な事由」といえるのかどうか、ということなんです。
たとえば、冒頭の今日子さん。その程度なら、夫婦で関係を修復することもできるでしょ?と判断されれば、離婚を認める判決は出されません。


 性格が合わない
 経済感覚が違う
 家事や育児に非協力的


といった程度の理由だけでは、「重大な事由」としてはなかなか認めてもらえません。


また、有責配偶者(離婚が認められるような原因をつくった側の配偶者)からの離婚請求は、原則認めてもらえないことが多いようです。


さらに「別居生活が長いと、離婚裁判では有利」ということが言われます。
確かにその傾向はあるようですが、別居期間の長さだけで言うならば、1年の別居で離婚を認められたケースがある一方で、9年の別居でも認められなかったケースもあります。
なので、単純に、別居生活の長短だけで決まるものでもないのです。


100件の事例があれば、100通りの要因があり、本当にケース・バイ・ケース。
経済面、健康面、子の有無、別居の有無、生活態度、その他さまざまな要因を考慮して、裁判所は判断を下すわけです。


おおむね、離婚裁判(ここでは離婚を認めるかどうかの争い)では、離婚を認めるという判決が多い傾向に感じられますが、全部が全部離婚を認めているわけではありません。


つまり、裁判しさえすれば、離婚できるわけではないのです。
裁判にはそれ相応の時間がかかります。
弁護士が必要になりますからお金もかかります。


お金も時間もかけたのに、ふたを開けてみれば、自分の思う通りの結果が得られなかった、なんてことになったら、とても悲しいですよね。
何のための裁判だったのか!?ということになってしまいます。
なので、安易に「裁判をすればいい」という考えは危険です。


協議離婚の場合、離婚の理由は問われません。
離婚を強く望むのであれば、理由の如何を問わない離婚協議の段階で、説得力のある理由を示して離婚の合意に持っていくことです。

 

 

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2016年08月28日|ブログのカテゴリー:離婚について