養育費は誰のもの?

1. 養育費とは

手を差し伸べる赤ちゃん
  •  
  • 養育費とは、未成熟の子の生活費であり、子を引き取らなかった親が、監護者(子を引き取り、子の日常的な世話をする人)に支払う金銭のことを言います。

     

    養育費を受けるのは、子の権利であり、その支払いは親の義務です。たとえ離婚していても、子にとって、親であることには変わりなく、親は子が成長するうえで必要な生活費、教育費などの費用を負担する義務があります。

     

    支払う先が、直接離婚の相手方になるので、「憎らしいあの人に、金銭を支払うなんて…」と、感情的に抵抗を感じる人もいるかもしれません。

  •  

相手のための費用ではなく、あくまでも子のための費用であるということを監護する側もしない側も肝に銘じておく必要があります。


子のための費用ですから、子が成長するまで支払いは続きます。ですから、たとえ子を引き取った側の親が再婚したからといって、直ちに養育費の支払いを停止してよいものではありません。

養育費を支払う義務は「生活保持義務」といって、これは、ただ単に最低限の生活ができればよいのではなく、自分と同程度の生活を子供に保証しなければならないというものです。
ですから、養育費を支払う者は自身の生活水準を落としてでも支払う義務があります。

また、たとえ自己破産しても、養育費は免責されません(借金が帳消しになる自己破産ですが、養育費の支払いは、帳消しにはなりません。つまり、自己破産しても支払う義務があります)。

 


2. いつまでもらえる?

養育費は、別居や離婚などで、一方の親が未成年の子を養育していて、他方の親に子を養育せよ、と要求できる状態が始まった時に請求できます。つまり、別居、離婚などで片方の親が子を引き取った時点から、養育費は請求できます
その終了は、一般的には「子が成人するまで」です。

ですが、親同士の取り決めによって、
  ・18歳に達した時まで
  ・高校を卒業するまで
  ・大学を卒業するまでま
など、それぞれの事情に応じて終了時を決めることができます。
そして、養育費には時効はありません。
子が養育される状態が続く限り、請求することができます。
また、子ども自身に請求権があるので、子ども自身で請求することもできます。

 


3. いくらもらえる?

双方の話し合いで決めるものなので、「いくら」という上限も下限もありません。生活の水準は家庭ごとにそれぞれであり、一概に「いくらもらうべき」ということは言えません。

  •  
  • ・これまでの生活で、子どもにかかった費用はどのようなものがあり、いくらかかったか

  • ・今後、どれだけの出費が予想されるか。

を考えて、支払う側に著しい負担のない範囲で額面を決めることになります。(あまりに莫大な費用を請求し、支払い能力を超える金額になってしまっては、支払う側の生活が立ち行かなくなってしまうことになりますから。これは慰謝料についてもいえることです。)

双方の話し合いで決まらない時は調停、審判、裁判で決めることになります。

話し合いで決める、とはいっても、請求額が少ないのではないか、本来ならばもっと請求していいのではないか、あるいは請求される側が請求額が多すぎはしないか、など、なかなか決められない面もあるかと思います。
そんなときは、東京・大阪の裁判官が共同で作成した「養育費算定表」を参考にしてみてください。
子供の人数と年齢別に、養育費をもらう側と支払う側のそれぞれの収入に応じた養育費が割り出せるようになっています。これは家庭裁判所の調停や裁判のときに活用されているので、話し合いのときにひとつの目安として参考にするといいでしょう。
裁判所のホームページからダウンロードできます。


▶「養育費・婚姻費用算定表」(裁判所ホームページ)


4. 養育費について決めること

4-1 金額

「3.いくらもらえる?」を参照してください。


4-2  支払期間

「2.いつまでもらえる?」を参照してください。


4-3  受け取り方法

定額の月払いが一般的です。
例えば「毎月○日」までに「●●円」を「△△銀行」に振り込む、というように具体的に決めます。振込先は親名義の口座ではなく、子の名義にした方が、支払う側も、子に対して送っているという目的意識が明確になって心情的なわだかまりを抱くことなく支払いに応じることができると思います。

支払いが滞る心配がある場合は一時金でもらうこともできます。
あくまでも双方の話し合いで、どのように支払うのがいちばんよいか決めることになります。


4-4  その他

進学やケガや病気などのために、急に多額の出費が必要となる場合があります。
また、子供の側の事情だけでなく、支払う側の事情として、病気になった、とか、リストラされたなどで、それまでの額面通りの支払いを続けていくのは困難な状況になる場合もあります。
そのようなときは、養育費を増減することができます。(これもお互いの話し合いになります。)
このような場合を想定して、「諸事情により、養育費に変更が生じる場合は話し合いにより増減できる」旨の取り決めをしておくと良いでしょう。

 


5. 養育費をきちんともらうために

5-1  文書に残す

口約束もきちんとした契約です。ただ、口約束だけでは「言った」「言わない」の水掛け論になることは必至で、トラブルのもとです。(これは養育費の取り決めに限ったことではありません。)
取り決めたことは必ず文書に残しましょう。
念書、契約書など、形式は問いませんが、決定事項を書面にし、夫の署名、捺印をもらいます。
「強制執行認諾約款(きょうせいしっこうにんだくやっかん)」付きの公正証書にしておくのが最も効果的です。
「強制執行認諾約款」というのは、「約束を守らなければ、強制執行してもよい」という内容の文言で、それを入れることで、養育費が不払いになった時に、その公正証書を債務名義として給与の差し押さえなどの強制執行を速やかに行うことができます。

これらの協議書や公正証書は個人で作成することもできますが、肝心なことが抜けてしまっていたり、文言があいまいだったりすると、せっかく作成した協議書がのちのトラブルにもなりかねません。


当事務所では、離婚に伴う協議書の作成、公正証書の案文の作成をお手伝いしております
一から作成することも、作成した協議書等の添削も行っていますので、是非、ご相談ください。


5-2 面会交流

夫婦が離婚して他人同士になっても、親子の縁は一生切れることはありません。
別れていようが一緒に暮らしていようが、子にとって親であることに変わりはなく、親にとっても、子は生涯子であることに変わりありません。
別れて暮らす親にも、子に会う権利があります。

子と離れている親が、子どもに会うことを「面会交流」といいます。

面会交流は、子供の福祉と利益を最優先に考えなければなりません。面会交流することで、子の情緒が不安定になる、子どもが会うのを嫌がるなど、子どもに悪影響となるような特別な事情のない限り、面会交流は認められなければなりません。

子が、別居している親をしたっているような場合はなおさらです。
親の都合や感情だけで、離れて暮らす方の親に会わせないようにすることがないようにしたいものです。
いくら生涯親子であることに変わりはないとはいえ、日々疎くなれば他人のような存在になってしまうものです。
関係が希薄になった子に対して養育費を支払い続けることが、なんだかむなしくなり、次第に支払いも滞りがちになってしまいかねません。
反対に、子どもと交流を持つことで、子供の様子もわかってもらえ、月々の養育費も気持ちよく支払ってもらえるのではないでしょうか。

面会交流するにあたって、双方で、いくつかのルールを決めておくのがいいでしょう。
  ・面会の頻度はどのくらいにするか。
  ・時間はどのくらいにするのか。
  ・会う場所はどうするか。
  ・学校の行事などの参加はどうするか。
  ・宿泊や旅行は認めるか。
など、具体的に取り決め、必ず書面にしておきます。

親同士の話し合いがつかない場合は、調停を申し立てることになります。

 

 

【まとめ】

・養育費を受けることは子どもの権利。
・子どもの健やかな成長のために支払われるべきものであることを夫婦双方がきちんと認識すること。

2016年07月11日|ブログのカテゴリー:離婚とお金